ADAC TOTAL 24-Hour Nurburgring Race

2020年9月24-27日

Lexus RCF SP-8 Class
予選1位  決勝 DNF

GR Supra GT4 SP-10 Class
予選3位  決勝3位

待ちに待ったニュルブルグリング24時間。
当初5月に開催予定であったが、新型コロナウィルスの影響により延期され今年は9月になった。この参戦に関して入国制限など様々な問題があったが,チームが各所に問合わせて実現できた。
レースは予選から波乱が起こり、決勝では自分の人生の中で経験したことない難しいコンディションで特に雨が強くなりクラッシュや赤旗などまさにサバイバルだった。
そんな中でチームやチームメイトの素晴らしいサポートによりスープラはクラス3位で完走を果たし、RCFはラスト3時間までトップを快走していたが駆動系のトラブルでリタイヤ。
最終的な結果は残らなかったが、この歴史的なレースで体験することがかなり多く、またこのレースの素晴らしさと難しいさを改めて知り本当に参戦して良かったです。



9月23日 (水)
21日に無事に入国でき、22日はフランクフルト空港から移動を開始し、23日は受付けと今回一緒に組むことになったAndreas Gulden選手とDominik Farnbacher 選手と初の顔合わせ。
二人ともとても気さくでニュルでは何年も走っているだけあってこの日でも様々なことを教えてくれ、特にAndreas 選手はニュルブルクリンクドライビングアカデミーのコーチでもある彼がわざわざ普段入れないトラックウォークに案内してくれ、初めて走るスープラの特徴やコースのライン、雨のラインや、危険なポイントなどかなり細かく教えてくれました。
説明がとても具体的で聞いている自分もびっくりしました。
ライセンス講習の時以来のトラックウォークでしたが、実際に歩くと本当に高低差がすごい。
1周25Kmあるため、約2時間に及ぶトラックウォークを完了。
2018年からスポットで4回ほど参戦しているが、これまでレインコンディションでの走行が無くこのアドバイスは非常に役に立った。
その後はシート合わせや、チームとのミーティングをし、次の予選に備えました。



9月24日 (木)

予選1
この日は予選があり、昼のセッションと夜のセッションの2回ありました。
しかし、24時間の予選はGT3のクラス以外は重要度は特別大きくはないのですし、自分自身3月のテスト以来の走行で、スープラに関しては初走行。
最初は2台ともベテランの2人に乗ってもらい、自分はRCFから乗り始め、スープラは最後に乗りました。
両方とも2周ずつの計測をしました。
RCFはすぐに慣れることができ、順調にこなし感触は良かったです。
スープラはとにかくなれることに集中し、初めてのGT4ということもありABSの設定やトラクションコントロールの設定などの確認をメインにこなしました。
乗ったフィーリングは車重が軽くブレーキの効きや動きが軽く自分の好きな動きの車でした、ただ高速コーナーは若干ピーキーでまだまだ慣れが必要だなと感じました。
この予選では最初に乗ったベテラン二人のお陰でRCF 1位、スープラ 3位で終えることができました。


予選2
19時からのナイトセッション。
雨が降り出す予報でしたが、ドライコンディションで走ることができた。
夜のセッションも初めて。
しかしここでまさかの出来事が。
何十年も走っているチームメイトがRCFで走行中に車両全面を接触するクラッシュしコース上でストップ。
ここでRCFの走行は終了。
何十年も走っているベテランドライバーであったが、ミスを犯しクラッシュし改めてニュルの怖さを知りました。
ナイトセッションが走れなかったのは痛かったのですが、すぐに気持ち切り替えてスープラで走行。
確認だけだったので1周だけ計測し、無理はせずコースの状況を確認できました。
予想以上にグランプリコースとノルドシュライフのコースの明るさが全く違いびっくり。
車自体は慣れてきて自分に余裕が少しできてきいましたが、夜はスーパー耐久のテストでナイトセッションで走ったことはあったが、ニュルは想像以上で過酷に感じた。



9月25日 (金)

予選3
朝から予報通りのウェットコンディション。
3回目は1時間しかセッションがなく、しかもウェットだったのでレースに向けてのタイヤ選びをスープラの方で担当させてもらいました。
RCFは昨日のクラッシュでかなり大破しており、急遽ファクトリーに戻し決勝に向けてチームスタッフに懸命に直してもらっていました。
このセッションは自分だけ走行し、コースのルール上グランプリコースコースだけ周回ができ、時間的な部分やリスクを考えグランプリコースで実施。
グランプリコースで2セットタイヤテストをし、2セットとも感触は悪くなく、スープラ自体も動きは悪くなかったが、ウェットで初めてノルドシュライフに入った途端に路面のグリップの低さにびっくり。
ドライでは少し感じるくらいでしたが、ウェットではドライの4倍近く変化があり衝撃的だった。タイムは気にせず1周して終了。
決勝前に1周できて本当に良かった。前もってトラックウォークで事前にAndy選手にアドバイスをもらっていたことが理解できたし、1周だけだったが本当に役に立ちました。
走行後はRCFの修復を見にファクトリーへ。
完成方向に進んでおり、クラッシュ状態から見てリタイヤになってしまうのではないかと思いましたが、20時間に及ぶチームの修復により復活。
チームの働きに脱帽しました。



9月26〜27日 (土、日)

決勝
朝にサーキット入りしたら完全復活を遂げたRCFが。
朝のウォームアップでDominik選手が確認してくれて問題なく決勝のグリッドに並ぶことができました。
スタートはRCFがDominik選手、スープラはAndy選手に行ってもらい、自分はRCFが2番目、スープラは4番目の順番で行く作戦に。
昨日に引き続き雨でコンディションはウェットから15時30分に24時間レースがスタート。
スタートから二人のベテランドライバーは序盤から速く、2台ともクラストップに浮上。
特にRCFは本当に完璧に治っているようで、2番手をどんどん引き離し独走状態に。
コンディションは1時間過ぎから徐々に雨足が弱くなってき始め、RCFは8周目約1時間半でピットインし自分に交代。
2番手に対してマージンを築いてバトンをもらったので落ち着いて走ることができ、アウトラップから金曜日のウェットより車の状態が良く安定して走ることができました。
3周目からペースをコントロールし車を壊さないように慎重走行。
途中コースコンディションは良くなっていったがスティント折り返しあたりからクラッシュ車両が増えだし路面は徐々に水がはけてきたが、コースの半周のレコードライン上にオイルが散乱。
状況は一変し非常に難しいコンディションになり場所によってはオイルフラッグが振られていない場所でもオイルが出ており本当に危険な状態だった。
そこでも落ち着いて自分のペースで走ることができ、9周しピットイン。
まずは1回目のスティントを無事にこなし交代。
その後のチームメイトも安定したペースで危なげなく周回をこなして行く。


自分の2回目のスティントはスープラのスティントで夜のスティントに。
夕方あたりから雨足が強くなり始め、交代のタイミングでコンディションが悪化し始める。
交代しピットアウトしてから暗さもあったが、ウェットと霧がすごくRCFと全く違うシチュエーションでびっくりした。
とにかく無傷で帰ることを意識して走っていたが、コースの後半あたりは周回を重ねることに雨足が強くヘビーウェット。
更に霧も強く視界も酷く、人生で初めてコース上に留まるので精一杯になった。
なんとかコース上に留まりながら周回を重ねていたがピットインの2周前に水たまりに足を救われスピンしクラッシュ。
この瞬間何が起こったか分からないぐらい呆気なかった。
ストップしたもののエンジンは始動しなんとかピットまでゆっくり帰ることができたが、自分自身のショックとチームやチームメイトに対して本当に申し訳なかった思いしかなくただ修復を願うしかできない自分に悔しさしかなかった。
ただこのクラッシュ直後に悪天候の為、赤旗中断で7時間のディレイに。
不幸中の幸いなことにこの時間でチームが素早い修復で復活させてくれて順位も最低限のロスで車を赤旗再開までに送り出してくれました。
RCFも難しいコンディションの中無事に赤旗まで走りきってくれました。
チームからは気にするなと励ましてもらい、しっかり直してもらったチームワークには驚きと感謝しかなかったです。



チームメイトは最後も難しいコンディションの中無事にチェッカーを受けゴール。
ゴールした瞬間は本当に難しいコンディションや夜にはクラッシュ、トラブルや様々な出来事を乗りこえゴールできた達成感と感動があった。
今まで参戦したレースで一番ハードレースは朝の9時から再開。
コンディションもスタート時と同じ状態。
再開のスタートの順番も同じ順番で走行。
RCFでDominik選手とスープラは Andy選手からスタート2台ともベテランらしいとても安定したタイムで周回をしていく。
RCFは順調に周回しており、再開後1時間半後に自分に交代。
前のスティントではミスを犯していたのでとにかくミスをしないように次に繋げることに集中した。
フィーリングは1回目のスティントと同じで問題無く走ることができたが、4周目に車から異音がした為、念の為ピットイン。
確認してもらい異常が無いとのことで再度ピットアウトし様子を見ることに。
しかしだんだん異音が大きくなってきて再度ピットに入ってチェックしてもらいピットアウト。
まだ異音がしていたが走れない状態ではなかったのでそのままペースをかなり落として行った。
コース半周まで行った際に異音が急に大きくなり駆動系が損傷。
そのままピットまで運ぼうとしましたが、走ることができずストップ。
残念ながらリタイヤ。
原因はデフのトラブル。
これまで出たこと無いトラブルだったので本当に悔しかった。
コースが大きい為ストップしてから1時間ほどコース上で待機せざるを得ず、マーシャルカーに迎えに来てもらい自分だけ乗せられピットへ帰ってくることができた。
戻ってから車の状況を説明し、気持ちを切り替えスープラの最終スティントに集中しました。
ラスト2時間半で交代。
路面はほぼドライになっており、このタイミングでドライタイヤに交換してピットアウト。
ピットアウトしたタイミングでまさかの再び雨が降りウェットに。
夜のセッションと同じくリスクの高いドライタイヤで走らざるを得ず特にコース後半は完全にウェットに変わっていた。
同じミスをしないように慎重にアウトラップを走行。
ドライタイヤでは厳しいと判断しすぐにピットイン。
レイン交換しピットアウト。
レインになってからは落ち着いて走ることができ車の状況を確認しながら周回。
とはいえ単純にウェットな路面なはずもなくコース上にオイルが散乱したり、毎周路面状況が違い今まで味わったことのない状況が続く。
とにかく車を無事に持って帰ることに集中し随時車の状況や路面の状況をチームに伝えながら走り、ラスト3周あたりはペースも良く自分も路面や車の理解が深まってきてタイムが上がり、時よりトップと遜色ないタイムで走行できた。
ラスト20分でピットインし最後のゴールを託しました。




初めてのニュルブルクリンクの24時間レースは本当に様々なことが起こり、前々から知っていましたが本当に車もドライバーもチームにとっても過酷なレースだなと感じました。
自分自身は2台のダブルエントリーでこの週末は失敗もありましたが多くのことを学び、特にこのレースでは『チームワーク』がかなり大切なんだと感じさせられました。
常にコミュニケーションをとり、常に情報共有し、お互いがリスペクトしながらレースをしなければ優勝どころか完走もできない。
これはおそらく日本では学べないことだと思ったし、今回一緒に組んだ現地のドライバーから走り方はもちろんチームとのコミュニケーションの取り方など勉強になりました。
この挑戦は自分の人生の中で特別な週末になったし、今回のレースは正直感動もしたが悔しさの残るレースでもありました。また挑戦しこの悔しさを晴らし、チームに恩返ししクラス優勝がしたいと思います。
 この世界的に新型コロナウィルスの影響で自粛や不景気が続いている中、僕のこのような挑戦をさせていただいたスポンサー様、僕を起用していただいたNOVEL racing様、RingRacing様、そしてレース中にクラッシュした車を治していただいたメカニックや一緒に組んでいただいたチームメイトの皆さん本当にありがとうございました。
このような環境にいる自分は本当に幸せです。この経験をまた色々なところに活用し伝えていきたいと思いますしもっとこれからも挑戦し続けて行きたいと思います。

朝日 ターボ